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2011年4月 2日 (土)

無理数と有理数と対角線論法≪無限は実在するか6≫

無限の量の比べ方

実数の量について考えたい。無理数は有理数よりも数が多いのだろうか。
しかし、無限の量とはどのようにすれば考えられるのだろうか。ここでは、実無限派による無理数の「濃度」のとらえかたについて考察し、無限について考えたい。
(面倒なので、可能無限の立場から考え直すのは次節でまとめてすることにして、今回は実無限の立場からのみの見方をする。)

二つの物の量を比べるとき、一般的にその両者の数をカウントして数え上げるとどちらが多いかを見ればいい。カナダと日本のどちらの人口が多いのか、昨日と今日の気温はどちらが高いかなど、その量を数値化できるものはすぐに答えが出る。でも、無限の量を考えるときにその要素の全体の量を数値化することはできない。
だから、無限の量を考えるときは全体の量を数値化するのではなく、1対1対応ができるかを考えよう。そして、その無限の量を「濃度」と呼ぼう。・・・とカントールは考えた。

「自然数」の全体は「整数」に含まれる。だから、当然、「自然数」は「整数」より小さいはずである。しかし、

「自然数」対「整数」
   1 … 1
   2 … -1
   3 … 2
   4 … -2
などとして、この二つを1対1対応をさせることができる。
このように1対1対応できるのならば、「同じ濃度である」ことにする。・・・と、したのである。

だから、「自然数」と「整数」は同じ濃度である。

また、

自然数

偶数

10

12

14

のように、1対1対応させられるので。「自然数」と「偶数」も同じ濃度である。

「自然数」と「有理数」ではどうか。有理数は分数で表すことができる数であるから、

Photo

自然数

分数

1/1

2/1

1/2

1/3

3/1

4/1

3/2

2/3

4/1

のように、有理数全体を順序立てて並べていき、自然数と対応させることができる。

分子と分母を縦横列に並べていって、約分できるものを排除してから、順番にカウントしていくようにする。そうすると、どこまでも限りなく「自然数」と「有理数」が1対1対応させることができる。だから、この両者は同じ濃度だと言える。

ここまでの、「自然数」「整数」「偶数」「有理数」などは、順番に数え上げていって、1対1対応できることを確かめることができたので。「可算濃度」と呼ばれ、あるいは「アレフゼロ」と呼ばれる。

しかし、無理数は順番に数えていくことができないので「可算」ではない。そして、濃度も同じではない。
自然数と無理数がうまく1対1対応できないことをしめすのに、カントールは「対角線論法」なるものを使った。

 

対角線論法

Photo_2

① [0,1]区間(0以上1以下)の全ての実数を、適当な順番に並べていく。(普通の10進法の数でも問題ないのだが、上の図では、2進法の「0」か「1」で表した。)

② それぞれの実数の中から、一つの位の数字を取りだしていく。表の1段目の数から小数1位の数字を取りだし、2段目の数から小数第2位の数字を取りだし、n段目の数から小数第n位の数字を取りだす。表の対角線を切り取ることになる。ここで取り出した数は一つの実数を表している。

③ 表の対角線から取り出した数の、小数1位以下の全ての数字を「0-1反転」させる。(0ならば1にし、1ならば0にする。)すると、新しい実数ができる。この新しい実数は、R1とは小数第1位で異なり、R2とは小数第2位で異なり、Rnとは小数第n位で異なることになる。だから、この新しい実数は、表の中に並べられていた全ての実数と異なる。

④ だから、はじめの「全ての実数を並べて自然数と対応させた」とする前提が間違っていたことになる。つまり、全ての実数列を並べて自然数と対応させようとしても、それは自然数の濃度の実数列でしかないので、全ての実数を並べたことにはならない。
ゆえに、実数は可算濃度アレフゼロではない。

以上がカントールの対角線論法による、「実数が自然数よりも濃い」ことの証明である。
ここに有理数と無理数の違いが見える。
つまり、有理数は無限に存在するが、一つ一つの有理数は有限の値である。しかし、無理数はその一つ一つの数が無限を含んでいる。このことが、数の濃度の違いを作っているのだ。

 

有限の有理数と無限の無理数

上の対角線論法は、自然数によってカウントできる実数列では全ての実数を並べることができないことを、明らかにしている。そのことを、有理数と無理数の違いに注目して、もう一度見直してみたい。

対角線論法で、はじめに、適当な順で実数を並べたことにした。しかし、この時点でランダムにでたらめな順番で全ての実数を並べることは、人間にはできない。なぜなら、実数に含まれる無理数が、無限小数だからである。ある任意の無理数を一つだけ取り出すことはできない。一つの無理数を取りだすためには無限を取りださなくてはならないからだ。
だから、実数を並べていくには実際には何かの規則に沿って数を並べていくことになる。しかし、それでも並べられるのは有理数だけになってしまう。

たとえば、[0,1]区間を半分に割って、それをさらに半分にし、どこまでも分割をくり返していくとする。2進法で表すとこうなる。

20111

自然数 対 小数(2進法表記)
  1 → 0.1 
  2 → 0.01
  3 → 0.11
  4 → 0.001
  5 → 0.011
などとして、「0.1」から順に番号をつけていく。

そして、これを対角線論法の表に並べていく。(この方法でつくった小数はすべて有限小数なので、「0.1」を「0.1000…」にするように、無限の「0」をうしろに並べていくことにして、無限小数の形にする。)

2

この表で、上の対角線論法と同様に、対角線の数字を切り取ったものを、「0-1反転」させて新しい数を作る。
当然、この新しい数はそれまでに並べられていた全ての数とは異なるものになる。

すると、ここで何が起こるか。ここに、有理数から無理数への飛躍が起こるのだ。

初めに並べられていた数列はすべて、順に2分割をくり返していっただけのもので、どこまでいっても有限小数である。だから、いくら無限の0をつけていたとしても、有理数でしかない。
しかし、対角線から新しく作られた数は無限に並んでいる列から作られているので、これ一つだけで無限の桁数を持っている。無理数である。
(厳密に言うと、この数を無理数と言うべきかどうかには微妙な問題があり、この記述にはまやかしがある。しかし厳密に正しい記述にするにはかなり面倒な手順が必要なので、ここはこれで勘弁してもらいたい。この記述でも論点は十分通じるだろう。ただし、学校のレポートにこのまま出すのは止めた方がいい。)
だから、ここで対角線論法は、どれだけ細かに有理数を並べたとしても、その間に新しい無理数を並べることができることを示していると言える。

無理数は無限を内在することによって、「可算濃度・ アレフゼロ」よりも濃度の高いものになるのだ。
この無理数のように数えられない濃度を「非可算濃度・אアレフ」という。非可算濃度の無限にも色々な種類があり、いろいろな濃度があるのだが、特にこの「無理数」や「実数」の濃度を「連続体濃度・アレフ」という。

 

さて、この対角線論法をもっと別の数に使うと、さまざまな濃度の差が見つけられるのではないだろうか。たとえば、自然数が自然数よりも濃度が濃くなってしまったりしないのだろうか。

実際にやってみて、確かめてみよう。そうすると、p進数というたいへん興味深い数体系が表れてくるのだ。また、この対角線論法は可能無限の立場から見ると使える立証なのだろうか。それらは次節で。

 

つづく

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